2019年12月19日木曜日

Vin Nouveau その2 2019ミレジムとワインについて


2019年ミレジム

 
春先に寒さが残り、グローイングステージの一指標としての桜の開花は、平年より少し遅いくらいでした。4月末の苗植作業時には雪が舞いました。夏季、2018のような干ばつはなく、ほどほどの雨量の中推移しました。9月になると好天が続き、果実の成熟を後押ししてくれました。葡萄のサンプリングデータを見るところ2017に類似しますが、感覚的には2017より僅かに温暖であったという印象があります。

自社ワイナリーを稼働したことで、品種ごとの収穫、仕込みが可能となりました。品種の熟期を見極めつつ、収穫しては仕込むという、この地でワインをつくるスタイルが出来上がりました。

「農福連携」を継続、大町市社会福祉協議会障がい福祉サービス事業所の皆さんに苗植、葡萄の株元の草取り、防鳥ネットの設置、病果の除去、葡萄の収穫、冬の養生としての株周り藁巻等にご協力をいただきました。仕込み時に選果台を持たないため圃場で入念な選果を行うことが重要となりますが、そのような場面でも大いに助かりました。

 
ワインについて
 
白ワイン、赤ワインとありますが、どちらも2019葡萄からの新酒(Nouveau)です。
 
  白ワイン

Yamano-Vin-Se(山のヴァンせ)

岳都大町ならでは枕詞「山の」。Vinは「ワイン」。
大町の皆さんは言葉尻に「・・・せ」を付けて話します。標準語の「・・・ね」と同義語でしょうが、北アルプス山麓地方ならではの粋なリズムと親しみを覚えます。

つくりは、Method Ancestrale。直訳すれば「先祖代々の方法」。
発酵の終わり澱が沈み切らないとき、発酵による炭酸ガスがシュワシュワした状態で王冠瓶詰を行います。これにより、にごり微発泡ワインとなります。澱の旨みとにがみがほのかな甘さと調和し、泡と一体となりフレッシュさをもたらします。
澱を除去しない手法のため、瓶内に澱が沈殿しています。綺麗な上澄みを飲むもよし、澱を攪拌させてにごりを飲むもよし、お好みで楽しんでください。

! 抜栓時には吹きこぼれにご注意ください。

原料:シャルドネ(長野県大町市平産、買い葡萄)。収穫10月4日~6日。
密閉型バルーンプレスによりホールバンチ(全房)プレス。果汁を澱下げした後、上澄みを他の容器へ移動。野生酵母によりゆっくりと発酵を進めました。発酵期間43日。発酵の終わり、炭酸ガスがある内に無濾過にて王冠瓶詰。醸造過程において少量の亜硫酸を使用しましたが、限りなく0に近い数値です。

アルコール11.5%  希望小売価格:2,200円(税別)
 
  赤ワイン

Remerciements(ルメルシマン)

ワイナリーから自動車で5分くらい離れたところにメルロの圃場があります。縁あって今年からFerme36が管理することになりました。栽培はボルドー液中心の防除。
畝間2.5m、株間2m、グイヨ・ドゥーブル仕立。ワイナリー周辺の圃場と比べると植栽密度は広めです。
原料:メルロ(長野県大町市平野口産、自社管理葡萄)。収穫10月14日~17日。

収穫後、一粒一粒を手で除梗(いわゆる「手除梗」)。気の遠くなる作業ですが障がい福祉サービス事業所の皆さんが積極的に参加。外した粒をオープントップのステンレスタンクに集め、野生酵母にて発酵を進めました。ルモンタージュとピジャージュを行いながら丁寧に味を抽出した後、密閉型バルーンプレスにより搾汁。搾られたワインは短期間澱下げを行い、フレッシュな風味を保った状態で王冠瓶詰。醸造過程において亜硫酸の添加はありません(Sans Soufre : サン・スーフル)。Vin Nature Nouveau(ヴァン・ナチュール・ヌーボー)ならではの葡萄そのままの果実味、スムースな飲み口を目指しました。

アルコール11.5%  希望小売価格:2,400円(税別)


以上、よろしくお願いいたします。